労働時間や残業時間を適切に管理するために、企業は必ず従業員の勤怠管理を行う必要があります。適切な勤怠管理が行われていないと、労働基準法違反で企業に罰則が与えられる可能性があります。
本記事では、勤怠管理を行う目的や勤怠管理方法など勤怠管理ついて解説します。管理職や人事総務担当者には必ず知っておくべき内容のため、ぜひ最後までご覧ください。
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勤怠管理とは
勤怠管理とは、出勤・退勤時間、遅刻・欠勤回数、有給取得状況など社員の労働状況を数字で正確に会社が管理することです。労働基準法により、使用者は従業員の労働時間を適切に管理する義務があります。特に、超過労働時間は36協定に関係し、違反した場合は企業に対して罰則を与えられる可能性があるため、超過労働時間は適切に管理する必要があります。
勤怠管理は、社員の働き過ぎの防止や労働状況の改善にもつながるため、正確に管理しましょう。
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管理が必要な勤怠管理の項目
具体的に勤怠管理では、以下の項目を管理します。
■出勤時間と退勤時間
出勤時間と退勤時間は、従業員の労働時間を図る上で重要な項目です。出勤時間と退勤時間の適切なチェックにより、遅刻者を見つけ出すことができます。
遅刻が多い従業員は、周りの社員のモチベーションや生産性を低下させる可能性があるため、注意しましょう。
■残業時間
従業員の残業時間は、月45時間、年間360時間までと36協定によって決められています。万が一、違反した場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が企業に課せられます。
そのため、残業時間は毎月正確に管理しましょう。
■有給の取得日数
年次有給休暇が10日以上の労働者は、1年に必ず5日以上の有給休暇の取得が必須とされています。そのため、管理職の方や人事総務担当者は、労働者が1年に5日以上有休休暇を取得しているか確認し、1年の有給取得が5日未満になりそうな労働者に対しては、有休を消化するように声がけしましょう。
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勤怠管理を行う目的
企業が労働者の勤怠管理を行う目的は、大きく3つあります。
■目的1:労働状況の改善
近年、多くの企業が働き方改革を掲げ、労働状況の見直しや改善に努めています。その背景には、仕事だけでなくプライベートも充実させたいという価値観の多様化があります。長時間労働が強制される職場や有給取得が許されない企業は、社員採用時に悪いイメージを与えてしまいます。このような状況を防ぐためにも、適切な勤怠管理によって労働状況の改善に努めましょう。
■目的2:労働基準法違反防止
一つ前の項目でも解説しましたが、企業には労働基準法を守る義務があります。もし、労働基準法に違反してしまった場合、企業に罰則が与えられます。また、長時間労働により労働者が病気になってしまった場合、損害賠償が請求される可能性があります。そうならない為にも、勤務管理にて適切な残業時間の把握が必要です。
■目的3:社員の離職防止
残業時間が長い企業や有休を取得できない企業は、離職率が高まります。また、長時間労働によって、生産性が低下する可能性もあります。さらに、長時間労働によって、うつ病や適応障害を発症する人もいます。心の病は骨折や捻挫などのケガとは異なり治りにくく、中には一生完治しない人もいます。勤務管理は、社員の離職の防止や社員の健康維持にも役立ちます。
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勤怠管理方法
ここまでは、勤怠管理の内容について解説してきました。しかし、適切に勤怠管理を行うためには、どのように管理すれば良いのでしょうか。本項目では、勤怠管理方法とその特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
■勤怠管理方法1:紙の出勤簿
社員がそれぞれ紙の出勤簿にペンで出勤時間や退勤時間などの勤務情報を記入する勤怠管理方法です。
メリット
紙とペンを用意するだけのため、準備が簡単でランニングコストもかかりません。
デメリット
手書きによる煩わしさを感じる社員がいるかもしれません。また、リアルタイムで勤務時間を把握できないことや年間の勤務時間や残業時間をすぐに確認できない点もデメリットです。さらに、記入を社員に任せている為、労働時間の改ざんや不正が容易に行えてしまいます。
■勤怠管理方法2:タイムカード
出勤と退勤のタイミングで、タイムカードとタイムレコーダーを使用して打刻する勤怠管理方法です。
メリット
タイムレコーダーを導入するだけのため、比較的安価にスピーディーに導入できます。
デメリット
タイムレコーダーは、出勤・退勤時間しか記録できないものが多く、有休の管理や残業時間の管理ができない可能性が高いです。また、出退勤時にはタイムレコーダーが設置されている場所に必ず行く必要があるため、在宅ワークやテレワークに不向きです。さらに、有休管理や残業時間の管理ができないことから、有休や残業管理だけエクセルに記入するなど、勤怠管理の手間が増える可能性があります。
■勤怠管理方法3:エクセル
エクセルに勤怠状況を記入する勤怠管理方法です。
メリット
エクセルを準備するだけのため、安価に導入できます。また、Excelの関数を使用することで、残業時間や年次有給取得日数などがすぐにわかります。
デメリット
データの改ざんが容易に行えてしまいます。また、入力ミスがあるとエラーや間違った値を出力してしまう可能性があります。これによって、残業代が支払われないなんてことも起きかねます。
■勤怠管理方法4:社内用の勤怠管理
企業の要望に合わせて作成された社内用の勤怠管理システムを使用する勤怠管理方法です。
メリット
自社に合わせて開発された勤怠システムであるため、使用しやすいように自社独自でカスタマイズが可能です。
デメリット
社内用の勤怠管理システムの導入は、コストがかかります。また、導入するまでに時間がかかるのも社内用勤怠管理システムのデメリットです。
■勤怠管理方法5:勤怠管理システムの利用
月額利用料を支払い、勤怠管理システムを利用して勤怠管理を行う方法です。
メリット
パソコンやスマートフォンなど様々なデバイスから打刻でき、テレワークにも安心して対応可能です。また、リアルタイムに労働時間や残業時間を確認できるため、正確な勤怠管理が行えます。
デメリット
社員数や会社の規模によっては、利用コストが大きくなる可能性があります。また、導入してすぐは、使い方に迷う社員も多いため、利用方法の説明が必要となります。
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効率的かつ正確に勤怠管理を行うために
効率的かつ正確に勤怠管理を行うためには、自社に適した勤怠管理方法を見つける必要があります。そのためには、以下の点が重要となります。
[自社に適した勤怠管理方法を見つける為に重要なこと]
- 会社の規模や社員の人数を正確に把握
- 社員にとって負担の大きい勤怠管理方法でないか
- 今後会社の規模が拡大した際でも同じ勤怠管理方法で大丈夫か
以上の3点を考え、自社に適した勤怠管理方法を見つけましょう。
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まとめ
本記事では、勤怠管理について解説しました。勤怠管理は、企業・社員にとって非常に重要です。不正やミスが起きないように正確に管理しましょう。
識学では、組織の生産性向上に役立つ情報を発信しています。勤怠管理に関するお悩みを抱えている方は、一度プロの専門家に相談するのも良いでしょう。
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識学上席講師 大熊 憲二
2011年入社 ソフトバンク事業部に配属となり、史上最速の9ヵ月でマネージャーに昇進し、店舗拡大に貢献。
2014年モバイル事業部移動となり、業界全体が縮小傾向で低迷する中、200坪以上の超大型店等の新規出店に従事。
2016年に識学と出会い、識学に基づくマネジメントを徹底し、モバイル事業統括として史上初の年間目標完全達成を記録。
株式会社P-UP neo取締役常務執行役員兼識学上席講師として現在に至る。