「終身雇用」という概念が失われつつある現代社会。それにより離職率が非常に高くて悩みを抱えている企業が多くあるというのが現状となっています。また、厚生労働省によると就職後3年以内の離職率は大卒で3割を超えているとの統計がとれています。その背景にあるのが、「配属ガチャ」という言葉。昨今SNS上でよく見かけるキーワードとなりました。この配属ガチャとは何か、なぜ起きるのか、防止策とは?本記事で解説していきます。
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1. 配属ガチャとは
「配属ガチャ」とは、入社時の配属先や勤務地を選ぶことが出来ず、会社の意向で強制的に決められることを指します。
辞令がでるまでどの部署やどのような環境に置かれるのかわからない…という状況がスマートフォンのゲームやソーシャルゲーム等でみられる、アイテムをゲットするために「ガチャ」のレバーを回し、自分の求めているアイテムが出るかどうか…と運任せにするといった様子と似たように感じることから「配属ガチャ」と呼ばれる背景になりました。
希望の部署や上司に恵まれた場合は「アタリ」。思いもしていなかった部署や希望していなかった地方にある部署に配属される、高圧的な上司に当たってしまった、という場合は「ハズレ」と表現されます。
しかし、新卒採用選考の面接時に配属を決めてしまっている企業の場合は、そもそも「配属ガチャ自体が存在しない」というケースもあります。
■「配属ガチャはずれた…」ってどういう状態?
新卒が企業で働き始める4月~6月頃、SNS上では「配属ガチャ怖い」「配属ガチャ大ハズレ」「配属ガチャSSR(スーパースペシャルレア)引いた!」などといった投稿が多くみられるようになります。「配属ガチャはずれた」とは、具体的にどのような状況なのでしょうか。
このように、部署や勤務地、業務内容において、自分の異なる配属になると「配属ガチャがはずれた」ということになります。
配属ガチャの問題点
「配属ガチャ」がもし外れた場合、一番大きな問題点としてあげられるのは、新卒が早期に離職してしまうことといえるでしょう。希望していた勤務地や業務内容を言い渡されることによって、モチベーションは下がり、離職の可能性が高まってしまいます。
なぜ起きるのか?日本ならではの理由
なぜ、「配属ガチャはずれ」という状況が起きてしまうのでしょうか。そこには日本ならではの雇用方法に原因があると考えられます。
日本は新卒一括採用が主となっており、全員の希望を叶えることは難しいのが現状です。そのため「ハズレ」を引いてしまう新卒が一定数出てきてしまうのは仕方のないことにも思えます。また、欧米企業ではジョブ型採用で、入社時に部署や勤務地などを明示され、雇用契約書を結ぶため配属ガチャが起こることはありません。加えて、欧米企業では新卒・中途含め会社が必要とする人材やスキルの持ち主をその都度採用する「欠員補充方式」が一般的となっています。それに対し、日本企業はノースキルの学生を「総合職」という名称で大量に採用をし、入社後に約1か月~3か月程度のOJT(職場内訓練)を受け一人前へと育成されます。
また、以前は「就社意識」が強く、もし意に沿わない配属先であっても、終身雇用が約束されていたので我慢する人が多かったという背景もあります。しかし最近の若手社員は終身雇用を求める人は少なく、自らの求めるスキルやキャリアを積むことに注力している人が多くみられ、最終的にはその専門性を武器に転職を望んでいたり、起業を考えている人もいます。そう言った若手社員はより一層「ハズレ」を引くことに敏感になっています。
配属ガチャを回避するためには?
このような「配属ガチャ」の被害には出来るだけ遭いたくない…そう思うはずです。ではどうすれば配属ガチャを回避できるのでしょうか。
■【新卒側】「配属ガチャはずれた…」とならないためには
部署別・職種別に採用を行っている企業を選ぶ
大企業などでは主に一括採用を行っているため、配属ガチャは避けられないという現状があります。そのため、「営業職」「経理部」など、部署別、職種別に採用を行っている企業を選べば自分のスキルや希望の仕事内容の職種に勤務することが出来ます。外資系偉業などは部署別採用を行っていることが多いため、チェックしてみると良いでしょう。その際は、募集要項で部署ごとに採用を行っているのか、一括採用の後に配属が決まるのかを必ず確認しましょう。
大企業ではなく小規模企業を選ぶ
前述のとおり、大企業では主に一括採用を行っているため、配属ガチャの被害に遭いやすいです。しかし、小規模企業はそもそも部署が少なく、もし配属ガチャがあったとしても想定外の部署に配属されてしまう、という可能性は低くなります。また、従業員数が少ないため経営者との距離が近く、自分の希望をトップに伝えやすいというメリットもあります。
■企業側はどうするべき?
配属ガチャを行うことで新卒は希望の職に就くことができず、企業側も早期離職者が増えるという双方にデメリットがあります。そこで、企業側も配属先と新卒社員のミスマッチをできるだけ防がなければいけません。では企業側は具体的にどのような取り組みを行えば良いのでしょうか。
配属先情報の提供・告知を入社前に行う
配属先を伝えるタイミングとして多く挙げられているのが、「入社後(実際の配属時)」となっており、このことが原因でミスマッチが起き早期離職に繋がってしまうと言えるでしょう。以下のように、入社後ではなく、それ以前のタイミングで告知を行っている企業もあります。
・内定通知前の面談・面接
・内定通知と同時
・内定式
・内定通知後、入社前に伝える(内定通知時、内定式除く)
しかしながら、企業側も新卒の配属については全社的な人事配置の一環として総合的に行われるものであるため、告知が入社後になってしまうのも大いに理解できます。また、時には経営戦略的な判断が必要となるため、入社前段階の学生すべての希望をかなえることは難しいというのが現実的なところです。そう考えると、この「配属先の事前告知」というのは新卒側にのみメリットが感じられるかもしれません。しかし、企業側にもメリットはあります。
配属先の事前告知を行う事での企業側のメリット
・内定者の「わからない」ことに対する不安を払拭できる
・入社後のイメージが具体性を帯びることで入社意欲を高めることが出来る
・内定者フォローを行う担当者を明確にできる
このように企業側にもメリットはありますので、是非実施してみてください。
まとめ
いかがでしたか。昨今話題になっている「配属ガチャ」ですが、新卒社員にとっては今後の人生に大きくかかわってくる問題になります。「配属ガチャはずれた…」という状況を防ぐためにも、新卒側、企業側双方の工夫が必要となります。配属先の事前告知はメリットも多くありますので新卒の希望とのミスマッチを防ぐためにも是非実施してみてください。
株式会社P-UP neo コラム制作部
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