衛生管理者は、職場で働く従業員の健康を守る役割の人です。従業員が50人以上いる職場では必ず衛生管理者を選任する必要があります。
本記事では、衛生管理者の概要から業務内容、会社の規模と衛生管理者の人数、衛生管理者が不在となってしまった際の対処方について解説していきます。衛生管理者を選任する義務があるにも関わらず、衛生管理者を選任しないままでいると企業に罰則が与えられます。組織で働く方は、ぜひ参考にしてください。
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衛生管理者とは
衛生管理者とは、労働安全衛生法により定められた国家資格で、職場で業務にあたる従業員の健康管理や労働災害防止の為に活動します。従業員が50人以上いる職場では、必ず1人以上衛生管理者を配置することが義務化されています。注意点として、衛生管理者は従業員が50人以上いる職場ごとに1人以上配置する必要があります。そのため、従業員が50人いる支店が全国に3支店ある企業では、それぞれの支店に一人ずつ、合計3人の衛生管理者が必要になります。
従業員の健康と安全を守ることは、企業にとって非常に重要です。健康で働ける職場であれば、従業員一人一人の生産性や良いメンタル状態が保たれ、会社の利益向上にも繋がります。
衛生管理者の資格の種類
衛生管理者の資格には、「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」の2種類が存在します。
■第一種衛生管理者
第一種衛生管理者は、電気業やガス業などのライフラインに関する業種や建設業、製造業、医療業などの健康被害のリスクが高い業種を含めた全業種で衛生管理を行えます。全業種の衛生管理が行える分、第一種衛生管理者の試験は難しく合格率は約45%と50%を下回っています。
■第二種衛生管理者
第二種衛生管理者は、第一種衛生管理者よりも衛生管理できる業種が絞られています。具体的に、金融業、保険業、情報通信業、卸売業などのデスクワークや物理的な健康被害のリスクが低い業種に限られます。しかし、これらの業種でも精神面での健康を害する可能性は十分あり得るため、しっかりと従業員の衛生管理を行う必要があります。
第二種衛生管理者の試験は、第一種衛生管理者よりも難易度は低く合格率は約55%程です。
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衛生管理者の受験資格
衛生管理者の試験を受験するためには、実務経験が必要です。そして、必要な実務経験は受験者の最終学歴によって変動します。
上記の表のように、最終学歴が中卒の人の場合、衛生管理者の資格を受験するためには、10年以上の実務経験が必要となります。高卒の方は、3年以上の実務経験を積むと衛生管理者の受験資格が与えられます。短大・専門学校・大卒の方は1年以上の実務経験が必要です。ただし、実務経験は過去に就業していた企業の経験も合算されるため、1社のみで連続年数を積み上げて実務経験を重ねる必要はありません。
衛生管理者の業務内容
衛生管理者の役割は、従業員の従業員が健康に働けるように管理することです。具体的な、衛生管理者の業務内容は以下の通りです。
■1.健康に異常をきたしている人の発見と処置
健康に問題がある人がいないかを探し、いた場合は即座に処置しなければなりません。
具体的に、「業務中にけがや倒れた従業員がいた場合救急車を呼ぶ」や「職場の照明や温度、喚起など衛生上問題がないように保つ」などを行う必要があります。
■2.労働者に対する衛生教育や健康相談を実施する
「メンタルを正しく保つコツ」や「職場内で起きやすい労働災害の共有」など、労働者自身が自分の健康も守れるように教育することは衛生管理者の仕事です。また、残業時間が既定の時間を超えている社員に対して「産業医面談の機会を設ける」や「休職者に対するサポート」も衛生管理者の業務です。
■3.救急用具や衛生用具の定期的な点検及び整備
労働者がけがをした際に必要となる救急箱に必要な用具が全て揃っているか確認しましょう。また、AEDの動作確認や緊急避難はしご等の避難器具に異常がないかも定期的に確認する必要があります。
■4.業務中に発生した労働者の負傷や疾病、死亡、欠勤に対する統計の作成
業務中に発生した労働者の負傷や疾病、死亡、欠勤に対する統計の作成も衛生管理者の業務です。統計を作成し、あらかじめ事故原因や職場内で起きやすい負傷を把握できれば予防や対策を講じることが可能です。
■5.衛生日誌の作成
衛生日誌とは、労働者の健康管理に関わる出来事を記載したものです。「勤務中に負債した人の状況」などを記録します。衛生日誌があることで、過去に同じような負傷者がいた場合適切な対応を取れる確率が高まります。
■6.職場の定期的な巡視
職場に危険な場所がないか、体調が悪そうな社員がいないか衛生管理者は職場を定期的に巡視する必要があります。職場の巡視は負傷者が発生する可能性を減らす効果があります。
以上のように衛生管理者の業務は多岐にわたりますが、どの業務も労働者の健康を守るためには欠かせない業務です。
会社の規模と衛生管理者の人数
職場における従業員の人数によって必要な衛生管理者の人数は変動します。以下の表は職場における従業員の人数と必要な衛生管理者の数の関係を表しています。
職場における従業員の人数が50人を超えると衛生管理者を配置する義務が発生します。
もし、衛生管理者の選任義務が発生しているにも関わらず、衛生管理者を選任しなかった場合は企業に対して50万円以下の罰金といった罰色が発生します。衛生管理者を選任する義務が発生したら14日以内に衛生管理者を必要人数選任し、遅れずに労働監督所へ報告しましょう。
衛生管理者が不在となってしまった際の対処法
産休や育休で衛生管理者が長期間休職した場合や突然衛生管理者が退職してしまった場合、企業はどのように対応するのが適切なのでしょうか。衛生管理者が職場に不在となった場合、次の2点を行う必要があります。
■衛生管理者が不在となった際に行うべきこと①:都道府県労働局への申請
はじめに、衛生管理者がとる全不在となり、次の衛生管理者を選任するまでに時間を要する場合は、所轄の都道府県労働局へ申請する必要があります。これにより、次の衛生管理者を選任するまで一定期間猶予が生まれます。具体的に、猶予期間は1年間設けられ、企業はその間に新しい衛生管理者を選任しなくてはいけません。
■衛生管理者が不在となった際に行うべきこと②:代理人を選任
次に、衛生管理者の代理人を選任します。都道府県労働局へ申請で1年間猶予期間が与えられたとしても衛生管理者の代理人は必要です。代理人は衛生管理者の資格を保有している必要がありません。しかし、過去に衛生管理業務を行っていた人や衛生管理者の補佐を行った経験を有する人でなければ衛生管理者にはなれません。また、代理人を選任した場合、労働基準監督署へ報告する必要がありません。
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まとめ
本記事では、衛生管理者について解説しました。労働者の健康を守るために衛生管理者がいかに重要か理解していただけたかと思います。衛生管理所をしっかりと選任し、労働者の健康管理に努めましょう。
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識学上席講師 大熊 憲二
2011年入社 ソフトバンク事業部に配属となり、史上最速の9ヵ月でマネージャーに昇進し、店舗拡大に貢献。
2014年モバイル事業部移動となり、業界全体が縮小傾向で低迷する中、200坪以上の超大型店等の新規出店に従事。
2016年に識学と出会い、識学に基づくマネジメントを徹底し、モバイル事業統括として史上初の年間目標完全達成を記録。
株式会社P-UP neo取締役常務執行役員兼識学上席講師として現在に至る。