採用面接や人事評価を行う際、何を基準に人材を見るのでしょうか。ある一部の特徴的な印象に捉われて、全体の評価を下していませんか。それがプラス・マイナスのどちらに作用するのかに関係なく、その現象はハロー効果と呼ばれています。
この記事では、ハロー効果について身近な例を挙げながら詳しく解説します。また、人事評価に与える影響についても確認していきましょう。
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ハロー効果とは?
まずは、ハロー効果とはどのような意味を持つのかについて解説します。
■ハロー効果の意味
ハロー効果とは、対象物のある特徴が、その全体の印象や評価に影響を与えることです。心理学者のエドワード・ソーンダイクが提唱した現象で、認知バイアスの一種です。
たとえば、行列ができているお店は評価に関係なく、並んで食べたいと思う人は少なくありません。物事の目立つ一部分にだけ注目すると、全体の評価がプラスにもマイナスにも作用します。このように、ハロー効果はさまざまな場面で活用できます。
■ネガティブ・ハロー効果とポジティブ・ハロー効果
ハロー効果は、悪い評価をする「ネガティブ・ハロー効果」と良い評価をする「ポジティブ・ハロー効果」の2種類に分けられます。テレビCMはポジティブ・ハロー効果を活用したイメージ戦略です。また、テレビCMで起用された有名人が不祥事を起こして降板させられるのは、ネガティブ・ハロー効果を危惧してのことです。
■ハロー効果とホーン効果の違い
ネガティブ・ハロー効果と同義で使われるのがホーン効果です。一部の悪い印象に捉われることで、全体の評価にネガティブなバイアスがかかります。ホーン(horn)は日本語で悪魔の角を意味しており、ホーン効果は「悪魔の角効果」と呼ばれることもあります。ハロー効果は聖人の頭上に描かれる後光を意味しており、ホーン効果と対をなしています。
■ハロー効果とピグマリオン効果の違い
ネガティブ・ハロー効果と同義で使われるのがホーン効果です。一部の悪い印象に捉われることで、全体の評価にネガティブなバイアスがかかります。ホーン(horn)は日本語で悪魔の角を意味しており、ホーン効果は「悪魔の角効果」と呼ばれることもあります。ハロー効果は聖人の頭上に描かれる後光を意味しており、ホーン効果と対をなしています。
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ハロー効果が現れる身近な例
ハロー効果はさまざまなバイアスがかかることで起きる現象です。普段何気なく見たり聞いたりしているものでも、ハロー効果が現れる例は少なくありません。
■企業CMや広告
企業が打ち出すテレビCMや広告は、ハロー効果が活用される代表例です。たとえば、人気のタレントや有名人を起用することは消費者に対してプラスの感情が生まれます。商品に対するポジティブな印象に影響し、集客数や販売数が伸びやすくなります。
また、企業がスポンサーになることもハロー効果が期待できます。飲料メーカーがスポーツ大会のスポンサーになることで、競技中に飲むことをイメージさせることが可能です。
■口コミ戦略
飲食業を中心に、口コミでハロー効果を活用した集客も身近な例です。口コミや星の数が多いほど、消費者は「このお店は美味しいだろう」と評価を受けます。反対に口コミが悪ければ、実際の味に関係なく「イマイチそう」と判断されてしまいます。
良い口コミを増やす施策が、特典を付与して口コミを促すなどです。また、有名インフルエンサーにサービスを紹介してもらうなど、ターゲットに合わせた施策が行われます。
■恋愛
恋愛においてもハロー効果が現れることがあります。イケメン・美女など、外見が魅力的という理由だけでモテやすいのはハロー効果が大きく影響しています。
これを応用すると、外見のおしゃれ度を高めることで評価を高めることが可能です。デートでシワだらけの服を着ていたら「だらしがない」と評価されます。ただし、外見とともに中身も磨いていくことが、恋愛において大事な要素となるでしょう。
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ハロー効果がビジネスの場面で起こり得る代表的な例
ハロー効果はビジネスシーンでも影響を与えることが少なくありません。正当な評価を下すためにも、どのような場面でハロー効果が起こり得るのか代表例を見ていきましょう。
■人事評価
人事評価では「過去の経緯」「過去の業績」「現在の業務」を総合的に判断する必要があります。たとえば、以下のような経歴があるとハロー効果でプラスに作用します。
- 前期の営業成績がトップだった
- 前職が大手企業だった
結果を残しているため、全般的に評価を高くつけがちです。過去の学歴や経歴が他の評価項目にも影響を及ぼす代表例といえるでしょう。
- 前職がアルバイトだった
- 上司に対して反対意見を述べた
結果に関係なく、マイナスの評価が一つでもあると評価が低くなる可能性があります。
■採用面接
採用面接もハロー効果が現れる代表例です。面接官は限られた時間のなかで相手を評価する必要があり、志願者の表面的な部分に左右される傾向にあります。
過大評価しやすい具体例として以下が挙げられます。
- 有名大学の出身
- TOEIC800点以上と英語スキルが高い
- 国家資格を保有している
もちろん、業務に関連するスキルを持っていれば評価に値するでしょう。しかし、その特徴とは関係のない能力や性質についても高く評価してしまいがちです。
反対に、際立った特徴がない志願者は採用面接で評価されにくい傾向にあります。
■マーケティング
企業広告のマーケティングでも、ハロー効果が影響することがあります。特に広告デザインはハロー効果が出やすく、企業イメージを作り出す大きな要因の一つです。
過大評価されやすい具体例として以下が挙げられます。
- 笑顔の夫婦が映し出されている広告デザイン
- 赤ちゃんや動物を起用したテレビCM
- 有名アイドルやスポーツ選手が宣伝する商品
人気のある芸能人が宣伝に携わっていることで、商品がより親しみやすく感じます。好感度の高い有名人を起用することで、幅広い世代に認知してもらいやすくなるでしょう。
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ハロー効果による人事評価エラーを防ぐ3つのポイント
ハロー効果による人事評価エラーは、優秀な人材の流出につながります。人材という基盤をしっかりするためにも、ハロー効果による人事評価エラーを防ぎましょう。
■評価項目や基準の明確化
人事評価が生み出す不満の要因に「評価基準が不明確」が挙げられます。何を基準に評価されるのかが明確化されていなければ、ハロー効果を防ぐのは難しいでしょう。簡素に評価できる仕組みが良いとされていますが「できている」「できていない」だけの評価システムは避けてください。二分化すれば評価は極端になり、評価される側の信頼を損ないます。
■評価者訓練の実施
ハロー効果による人事エラーを防ぐためには、評価者の訓練も不可欠です。人事評価制度の仕組みや評価基準を十分に理解していないと、公正な評価はできません。評価基準の解釈は人によって違いが出る可能性があるため、評価基準の理解度の差を埋める必要があります。また、評価に関する注意事項も同時に共有しておきましょう。
■十分な評価フィードバック
人事評価に対して、評価を受けた側は「なぜ」と疑問を抱くことは往々にしてあります。評価基準を明確にしていても、自己評価と大きな乖離が生まれることもあるでしょう。人事評価に対して不満が続出する可能性があるため、十分なフィードバックも不可欠です。なぜそのような結果になったのかを説明することで、不平不満が出にくくなります。
まとめ
他人を評価するのにハロー効果によるバイアスがかかることは仕方ありません。企業戦略においても、ハロー効果を応用して大きな利益を生み出すこともあります。しかし、ハロー効果による人事評価エラーで、企業にマイナスとなる場合も考えられます。社員を正当に評価するためにも、評価基準を明確化し、十分な評価フィードバックを行いましょう。
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識学上席講師 大熊 憲二
2011年入社 ソフトバンク事業部に配属となり、史上最速の9ヵ月でマネージャーに昇進し、店舗拡大に貢献。
2014年モバイル事業部移動となり、業界全体が縮小傾向で低迷する中、200坪以上の超大型店等の新規出店に従事。
2016年に識学と出会い、識学に基づくマネジメントを徹底し、モバイル事業統括として史上初の年間目標完全達成を記録。
株式会社P-UP neo取締役常務執行役員兼識学上席講師として現在に至る。