隠蔽という言葉を調べると「人の所在、事の真相などを故意に隠すこと」(大辞泉より)でとあります。
一般的には悪事を隠す意味で使われることが多く、企業ではデータ改ざん、会計不正、パワハラといった不正、不祥事の隠蔽のイメージが強いのではないでしょうか。
では今回のタイトルにある「失敗の隠蔽」ですが、失敗とは悪事でしょうか?失敗は成功の基。学びの機会でもあるため必ずしも悪事とは言えません。
にもかかわらず失敗を悪事として隠蔽した経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか。今回はその理由について考えてみたいと思います。
目次
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パフォーマンス評価と報酬体系
評価、査定の観点から失敗の隠蔽について考えてみます。
評価項目は勤続年数、スキル能力、売上、コストカット、部下育成など業種業態、企業によって様々ですが、通常はどれか一つで評価することはなく複数の項目において評価されます。
ただ、その度合いが例えば売上90%、勤続年数10%のような過度な成果主義は危険です。
売上未達は給与ダウンに直結するため失敗をどうにかして隠蔽するもしくは不正でごまかすという誤った行動の動機に繋がりやすいからです。
失敗を許容できる組織文化
ただ、一概に成果主義がNGというわけではありません。
成果主義はやるべきことが明確になりモチベーションアップにつながるというメリットもあります。
大事なことは不正を隠蔽できない管理体制が取られていること。
例えばそのための営業管理システムの導入やペナルティなどのルール設定を整えておくことは有効です。
そのうえで失敗を悪事としてではなく、自身の不足として捉え成長の第一歩であると全員が認識できる、認識させるマネジメントが必要です。
確かに失敗によって自身の評価や報酬が下がることは否めませんが、それは成長のために必要な経験です。
にもかかわらず管理者が「今」や「過去」にフォーカスして失敗を批判することに注力したり恫喝等で感情的なマネジメントしていては、部下はますます委縮し失敗を恐れてしまいます。
また怒られている姿を見た同僚も同じく委縮したり、上司と一緒になってミスを犯した人を批判することが助長されると、組織全体が失敗を恐れていきます。
よって管理者である上司は次のゴールを示すことで結果に集中させ、そこに向かっていち早く行動を促す「未来志向」のマネジメントが必要です。
それが失敗を許容できる組織文化を醸成します。
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リーダーシップの役割
行動を促すと言っても上司としても部下に何でもやらせて、どんな失敗も許容できるわけではありません。
チームの売上達成がかかった大事な商談や事業拡大につながるプレゼン、多額の投資が必要なプロジェクトなど、管理者として許容できない失敗があるはずです。
そのためリスク許容度の見極めも上司の重要な責務であることを忘れてはいけません。
大事なことは部下の能力に合わせたゴール設定とその範囲においてはあれこれ口を出さず部下自身に考えさせ行動させること。
そうでないと、部下は失敗を自分ごととして認識できないからです。
よってリーダーシップとは部下と伴走することではないという事も正しく認識しておきたい点です。
オープンコミュニケーションと組織成長
従業員が「失敗は悪事ではない。大事なことは自身の不足を自ら埋め続けることだ」と認識し始めた組織はコミュニケーションの活性化が期待できます。
失敗を改善するために上手くいっている人から情報を聞きだす、自身の失敗(不足)に気付くために他者評価を求めるといった行動です。
部下が上司からの指摘を恐れたり、指導されるのを待つのではなく、自ら失敗を認識し、積極的に報告することが個人にとっても組織にとっても成長につながるということを一人一人が認識できれば、組織は自律自走します。
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まとめ
従業員が失敗を隠蔽する背景には、評価、査定、リスク許容度、マネジメント、組織文化、社員間コミュニケーションなど複数の項目が関連していますが、根本的には失敗は悪事ではないという社内の共通認識が不可欠。
そしてその認識を持てない人を責めるのではなく、認識できるような社内環境としてルール設定や評価制度と併せてマネジメントの在り方も再考いただくと良いのではないでしょうか?
従業員に「なんでもっと早くいってくれないの?」「主体性が無いな・・・」。と感じておられる社長やマネジメント層の方に識学は一つの解決策をご提案させていただきます。
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識学講師 中城 英一
国立広島大学を卒業後、広告制作プロダクションを経て、大手卒業アルバム制作会社に転職。営業兼カメラマンのプレイングマネージャとしてトップセールスとなる。その後社長直下の営業部長として営業カメラマン約20名のマネジメントに従事し部長着任6年で売上約1.5倍に貢献。2020年度、スマホアプリを用いた証明写真撮影サービスが経済産業省ものづくり補助金に採択され事業化する。学校現場に出入りする中で教員の労働環境に関心を持つ。同時に自身のマネジメントにおいても組織作りの重要性を痛感する中で識学に出会い感銘を受けるも、自身では使いこなせず識学講師になることを決意。現在に至る