昭和の終身雇用制度が完全に崩壊した令和のいま、むしろ一生同じ会社に勤め続けることの方が珍しくなったと言える。実際、転職が当たり前になり、それを生業にする業者も星の数ほどあります。
本コラムでは、「離職」は何を意味するか?離職が個人や組織に与える影響について考えていきます。
目次
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何故離職が起きるのか
人はなぜ離職するのか?離職発生の原因は?と問うと、多くの経営者は、本人にやる気がない・向上心がない、本人の資質が足りない、当社と合わない、厳しい労働環境に耐えられなかった、等のように。離職する人側に問題があると答えるのではないでしょうか。
しかし、はたして本当にそうでしょうか?
もちろん離職の原因は様々あるが、一つ言えることは、個人と組織の有益性のバランスが崩れたため離職という選択肢が生まれているということです。
この組織にいることで自身が得られる有益性と、他で獲得できるであろう有益性を比較した際に、後者の方が自身にとって有益であると判断したということです。
もし、想定以上の離職が発生していたり、将来を期待される社員が離職する状況があったとしたら、それは貴社が危険な組織状態であると認識しなければなりません。
つまり、個人から見て、市場での有益性獲得や、個人としての将来への希望や成長環境がない、といったネガティブな判断がなされているということです。
離職の影響
次に、離職が個人に及ぼす影響について考えます。
離職の理由が、今の環境では実現できない自分の夢を実現する、物心共により成長が期待できる環境へチャレンジであれば、個人にとっては必然であり、むしろ良いことであると言える。
これらポジティブな理由での離職に対しては、会社側には対抗する術はない。
ただし、実は今の環境でもその夢が実現できる、成長することができるというのであれば、会社にとって大きな損失となる。
そして、これは日々の目標設定やマネジメントの環境整備を正しく行えていなかった組織的な課題と認識し、直ちに改善する必要がある。
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離職後の選択肢
離職した個人のその後のキャリアについて。
離職後に、新たにどのような環境に身を置くか、個人の自由です。
ここで忘れてはいけないことは、離職の理由を所属していた組織の環境や人が原因であるとしないこと。自らに視点を向けて、現状認識をするとともに、将来ありたい姿を明確に設定することです。
例えば、自分の可能性を信じて離職し、資格取得等の学習・スキル習得、未経験業界や職種でのキャリア再構築、事業を起こす等の選択肢がある。
この時に重要なことは、どこを目指すのか明確にする。そして、そこに到達するためのイメージとマイルストーンを正しく認識すること、覚悟を持つことです。
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離職の教訓と今後への展望
最後に、離職から何を得るか?です。
個人は、組織に所属する以上は組織に合わせることが必要。つまり、前の環境で経験したことを活かす部分と捨てる部分を正しく認識することです。
経験が多ければ多いほど、「前の会社ではこうだった」等のマイルールが形成されてしまい、新しい環境での成長を阻害する要因となりかねません。
身に着けたスキルや思考はもちろん大いに活用すべきですが、新しい環境と前の環境とでは「当たり前の基準」が違うはずです。
新しい基準での他者評価を受け入れ、自分自身が変化していくことが非常に重要です。
まとめ
離職は個人にとって非常に大きな節目となる。どこから糧を得るか?どのように得るか?まさに人生を左右するものであり、適切な選択と計画が必要です。
そして、いかに新たなステージで有益性を発揮するか。成長するか。利益貢献する。新しい環境で求められることに対して、覚悟をもって取り組むことです。
また、そのためには過去の経験を財産としながら、新たな経験を積み上げていく真摯な姿勢が重要となります。
会社から見た離職は、事業や組織の現状を見つめ直す機会ともなり得る。制度や仕組み等の環境整備、組織体制、マネジメントが正しく機能しているか?
従業員から有益性を感じられない会社の、市場からの評価は?
事実を冷静に見極め原因分析し、課題があれば改善する。そして事業並びに組織の向かうべき方向性を指し示し、市場と正しく向き合うための環境整備をします。
離職を、ただの離職とするのではなく、会社にとっても個人にとっても、将来振り返ったときに意味のある出来事であったと振り返られる成長の契機とすべきです。
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識学講師 勝谷 祥久
1999年成蹊大学経済学部を卒業後、某クレジットカード会社にて営業、人事採用、営業部門の拠点長としてチーム目標達成を継続した後、新規事業の立ち上げ、営業統括部門の管理を歴任。
IT人材会社に転職し、執行役員兼営業統括部長として営業課員の育成とともに前年比120%の売上拡大の実現と新規事業の立ち上げをリード。
組織成長や部下育成が思うように進まないことに疑問を持つなかで識学を知り強く共感。 自身と同じように、組織構築や仕組み作り、人材育成に悩む経営者の良きパートナーとなることを志し転職。識学認定講師として現在に至る。