「エンパワーメント」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
実は、DX化の推進や新型コロナウイルスの蔓延などによって変化し続けるこの時代の中で、生き残る会社を作っていくにはこの「エンパワーメント」は重要な考え方となります。
では、エンパワーメントとは、一体どういう意味でどのように浸透させていけばよいのでしょうか?本記事にて詳しく解説していきます。
評価制度に関する無料のお役立ち資料をご用意しております。
コラム記事と併せてこちらもご覧くださいませ。
・「人事評価制度の極意3つ」13ページの無料資料はコチラ
・「その評価制度で、本当に大丈夫?」無料の漫画資料はコチラ
エンパワーメントの意味
エンパワーメント(empowerment)はempowerが語源で、1950年から1960年代の自由公民権運動や1970年代のフェミニズム運動により注目されるようになり、誰もが本来備えている能力を発揮できる社会を目指す思想として使われるようになりました。
エンパワーメントとは、簡単に言うと、「権力や能力を与えること」です。
組織パフォーマンスを最大化するために現場に権限に委譲することで自主性・自律性を促進します。その結果として一人ひとりの能力開花を目指す活動のことをエンパワーメントと呼びます。
ビジネスの場で使用される場合は、「自律性促進」「権限委譲」「能力開花」といった意味が多くなっています。
権限委譲を行うことで、部下自身が裁量権を持ち、自身で意思決定をすることでコミットメント力が強まります。それにより一人ひとりが自発的に行動を行うようになり、機動力のある組織に繋がっていきます。
そのような状態を作り出すマネジメント手法や育成手法としても注目を浴びています。
分野ごとのエンパワーメントの意味
■看護・福祉でのエンパワーメント
看護・福祉の分野では、患者が主体性をもって、プロセスに積極的に関わるという意味で、エンパワーメントが用いられています。患者エンパワーメントともいわれます。
看護や介護ではサービス利用者が自立することを最終的なゴールとします。そのため、抱えている問題を本人が解決し、本当の能力を引き出すように働きかけます。
また、患者は治療などに対して受け身になりがちですが、患者の積極的な参加を促すためには、現在の状態や治療について十分に情報提供する必要があります。
■教育でのエンパワーメント
教育というのは、「人は生まれながらに素晴らしい力を持っており、困難を通してその力を発揮する」という理念に基づき、本人を力を引き出すことが目的です。
そのため、手取り足取り教えるのではなく、本来持つ能力を信じ、見守ることが重要です。子ども自身で試行錯誤し、自分のやり方を見つける、これが教育でのエンパワーメントです。
エンパワーメントが注目されている背景
近年ビジネスシーンで注目を集めているのはなぜでしょうか。それには大きく3つの理由があります。
・迅速な経営判断
・若手人材の育成
・従業員の早期の戦力化
■迅速な経営判断
現場に一部権限を委譲し判断をゆだねることで、経営者は時代の流れをいち早く掴むことができ、迅速な経営判断が実現できます。そのため、常に変化を遂げる時代に対応することが可能です。AIなどの技術革新やグローバル化の影響により、日本のビジネスの進行速度はかなり早まっています。つまり、意思決定もスピーディーに実行する必要があるのです。
情報を集約し、上層部のみで事業の細部を決めるのではスピードが遅いため、従業員に権限委譲を行うエンパワーメントを取り入れることで、スピーディーな意思決定が実現し、顧客満足や事業促進につながります。
■若手人材の育成
権限を委譲することで、従業員は主体的に物事を考え、自立した人材の育成が実現します。
上司が手取り足取り教えるスタイルでは、自分で考える力がなくなり、主体的に物事を進めることが困難になります。
上司の指示通りに業務を遂行するのと自身で責任をもって主体的に仕事に取り組むのでは長期的に見てもパフォーマンスに大きな差が生じます。
そのため、裁量を持たせ、成功体験を積ませることで、自立した人事育成につながります。
■従業員の早期の戦力化
従業員が企業の中で戦力として稼働するためには、環境や業務になれるなど、インプットが必要不可欠です。
しかし、一つ一つ丁寧に教育を行っていては、スピードがかなり遅くなります。
そこで、従業員に権限の委譲を行うことで、現場から多くの情報を吸収することができ、業務や企業に対する早期の理解を促進されます。
エンパワーメントにはデメリットも
エンパワーメントは前述のような効果をもたらしますが、一方でデメリットもあります。
・個人と組織で方向性がずれる可能性もある
・向かない人は生産性が低下する
■個人と組織で方向性がずれる可能性がある
権限委譲を行うことで一社員の考えが組織内の決定に反映されます。そのため組織の目的や方向性と社員の行動が連動しなくなる可能性が発生します。
また、社員が本質を理解しないまま権限委譲をされると、「権限が与えられた=勝手なことが許される」と誤解を招き、自分の思い思いに行動したりトラブルになったりします。
例えば、顧客対応にばらつきが出て、顧客は会社へ不満を抱きクレームが発生する、といった事案が発生することもあり得ます。そのため、このような事態を防ぐために、目的と方向性を統一し、「どこまで個々で判断すべきか」「どういった場合に上司に相談するか」の基準を定める必要があります。
■向かない人は生産性が下がる
権限委譲に向かない社員というのも存在します。自身で意思決定仕事を進めることが得意な人もいれば、苦手な人もいます。
権限委譲される前は、多くの人が今までは誰かの指示を受けて働く側であったと考えられますそのため、指示待ちの体制が身についており、自分で考える・計画することができない場合もあります。
また、中には権限や責任を負うことにプレッシャーを感じる人もいます。このような人たちは心身に影響するほどの大きなストレスとなることも否めませんので、逆に生産性が下がってしまうでしょう。
エンパワーメントを導入の方法とポイント
エンパワーメントを導入する方法と、その際に気を付けるべきポイントをご紹介します。
■エンパワーメント推進を宣言
組織のリーダーがエンパワーメント推進を図ることをメンバーの前で宣言をしましょう。
ポイントは、ただ知らせて終わるのではなく、エンパワーメントの必要性や、なぜ導入に至ったのかなどの説明を行い、共通認識をしっかりと持たせることです。
■目標への同意と共感を得る
メンバーの気持ちを一致させるために、エンパワーメント導入についてのディスカッショや勉強会を開きましょう。
参加するメンバーには、率直な意見が述べることができるような環境づくりと配慮を行います。心配な事や疑問に思う事を全て出してもらいます。
■情報を公開し、権限を委譲する
意思決定には情報と権限の2つが必要不可欠です。情報の公開には経営陣からすると躊躇してしまうような行動ではありますが、現場で適切な判断を行うためには必要な事です。
情報を公開することでメンバーは責任意識が芽生え、企業がメンバーを信頼しているという姿勢を見せることができます。
そして、権限を委譲する前は裁量を与える範囲を決め、明確化を行います。
■目標達成のための行動の自由を認める
権限委譲の後は、メンバーそれぞれの自由な行動を認めましょう。目標達成のために、各々がとる行動を制限してはいけません。
達成のための戦略や、手法を自ら考えて選択させる必要があります。
まとめ
エンパワーメントの意味や必要性についてご理解いただけたでしょうか。
ご紹介した通りデメリットもありますがうまく活用すれば変化に強い会社になります。是非活用をしてみてください。
コチラの記事もオススメ↓↓
人事評価制度構築の注意点|重要な相対評価とは?
株式会社P-UP neo内にある、コンテンツを企画・制作する編集部です。 マネジメント業務の助けになる記事を続々制作中です。