人事評価制度とは、従業員の業績、態度、能力を一定の基準で分析・評価し、報酬や昇進・昇格などの人事査定に反映させる仕組みです。近年の社会情勢においてテレワークの導入が加速し、既存の人事評価制度を変更すべきか検討している企業が増えています。
この人事評価制度は、従業員のモチベーションや会社の業績に大きく影響することもあり、公平性・客観性・透明性・納得性が求められます。今回はそんな人事評価制度構築の際に重要な「相対評価」について解説します。
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人事評価制度が必要な理由
なぜ会社に人事評価制度が必要なのでしょうか。それは、社員が得た成果を目に見える形で表現するためです。
もともと、社会人として仕事をし始めた頃は
・なりたい人物像を目指すため
・社会貢献するため
・やりたい仕事をしたいため
このように、様々な理由があって仕事をしていた方がほとんどではないかと思います。そして、だんだんと仕事に慣れてくると
・家族が増え、責任をもって生計を維持するため
・豊かな暮らしをするため
究極を言うと「生活をするため」という理由で働く方が増えていくのではないでしょうか。仕事をしてお金を稼いで生活を豊かにするためということを考えている方が多いと思います。
中小企業の中にはそもそも人事評価制度がないという会社もあるかもしれませんが、これを設けることによって、社員の成果を金銭的報酬に変え、目に見える形で表現するための一つの仕組みとなるのです。そのため、社員個人の評価のためだけに用いるのではなく、報酬、賞与、役職を決定するために人事評価制度を活用するという考えが重要です。
個人評価だけで評価してはいけない
人事評価制度構築において注意すべきことは、「個人評価+相対評価」での評価を行うという点です。なぜなら人事評価によって、会社の成長を図るという目的があるからです。
個人の評価だけでは、会社の成長や業績を加味せず、インセンティブや奨励などで功績を与えます。しかし、仮に社員一人が成果を出していても、会社全体の売り上げが達成できなかった場合、会社の業績向上にはつながっていません。ここで、個人の評価に加えて、自分が所属している組織の相対的な評価を加味して評価することが重要となります。
会社に貢献してくれる社員を育成する
なぜ個人評価と相対評価を組み合わせて評価することが重要なのでしょうか。それは、自分が所属する会社に貢献できるような社員を育成するためです。
例えば、営業部のAさんは、4月の達成率が200%でした。しかし、営業部全体の売上達成率は85%と未達成でした。
もし個人評価のみで人事評価すると、ノルマ達成率200%を記録したAさんは素晴らしい功績を残したため、個人として評価されます。この時のAさんの思考は、「自分はノルマ達成したのに営業部の目標は未達だったのは、周りの社員の努力が足りない、または部長の采配に問題があるのではないか」と考えるようになります。
ここで、相対評価を組み合わせることにより、Aさんは「自分はノルマ達成したが営業部は達成できなかった。自分がもう少し頑張っていれば達成できていたかもしれない」と考えるようになります。結果的に、会社に貢献するために働く社員が増えるということになるのです。
まとめ
今回は、近年改めて注目されてきた人事評価制度の相対評価について解説しました。
目標達成のために働く社員個人の個人評価に、会社や部署の達成度や業績を足し算・掛け算しながら評価することで、結果的に会社の目標達成のために個人の業績をさらに高めようとする社員が増え、会社の業績は向上します。ぜひ今回の解説を参考に、人事評価を再考してみてください。
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識学上席講師 大熊 憲二
2011年入社 ソフトバンク事業部に配属となり、史上最速の9ヵ月でマネージャーに昇進し、店舗拡大に貢献。
2014年モバイル事業部移動となり、業界全体が縮小傾向で低迷する中、200坪以上の超大型店等の新規出店に従事。
2016年に識学と出会い、識学に基づくマネジメントを徹底し、モバイル事業統括として史上初の年間目標完全達成を記録。
株式会社P-UP neo取締役常務執行役員兼識学上席講師として現在に至る。