ビジネスシーンにおいて、エンゲージメントという言葉を聞く機会が増えました。従業員満足度と同じ意味合いでとらえている人も多いのではないでしょうか。企業側はエンゲージメントを高めることで、優秀な人材の確保・定着につながります。
この記事では、エンゲージメントとは何かについて詳しく解説します。エンゲージメントの重要性を理解して、企業価値を高めるための参考にしてみてください。
目次
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ビジネスにおける「エンゲージメント」の意味
エンゲージメントとは「婚約」「契約」などの意味を持つ英単語です。では、ビジネスシーンで活用されるエンゲージメントはどのような使われ方をするのでしょうか。
■従業員エンゲージメントとは?
従業員エンゲージメントとは、従業員と企業間で信頼関係が構築されていることを指します。従業員ひとり一人が会社に対して愛着を持ち、両者が一体となって成長し合う関係です。エンゲージメントが高まれば、組織力の強化により業績向上も期待できます。
決して従業員に対して愛社精神を強要するものではありません。企業側も従業員の貢献に対して報いることを約束することで成り立つものと考えましょう。
■従業員満足度との違いは?
従業員エンゲージメントの類義語としてとらえられやすいのが、従業員満足度です。これら2つの違いは、企業と従業員に結びつきがあるかどうかです。
従業員満足度は、労働環境や福利厚生など、従業員の満足度を高めることを意味します。しかし、従業員の満足度は業績と結びつきません。
一方で、従業員エンゲージメントは企業と従業員がともに成長するため、相互作用によって業績向上の貢献が期待できます。
従業員エンゲージメント向上のメリット
従業員エンゲージメントの目的は、従業員の貢献意欲を引き出すことです。より高めることで、企業と従業員にさまざまな効果をもたらします。
・離職率の低下
・優秀な人材の確保
双方間で確固たる信頼関係が築ければ、人材の流出を防げるでしょう。また、企業価値も高まるため、優秀な人材の確保につながります。
従業員が企業へ貢献する意思を持ち続けることで、高品質な製品やサービスの提供が可能となり、売上の向上が期待できます。
従業員エンゲージメントが高い企業に共通する3つの要素
従業員エンゲージメントを高めることで、企業側にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、従業員エンゲージメントが高い企業に共通する要素を解説します。
■働きやすい環境にある
従業員が「働きやすい」と思える環境にあるかは重要です。働きにくい職場では従業員のモチベーションが低下し、業務効率の低下や離職リスクにつながります。
たとえば、コミュニケーションが活発な職場は従業員エンゲージメントが高い傾向にあります。同僚や上司との対話がしっかりできていれば、悩みや不安を一人で抱え込むこともなくなるでしょう。コミュニケーションの質は、エンゲージメントに大きく影響します。
■評価制度が整っている
従業員がモチベーションを保ち続ける要因として、正当な評価が挙げられます。従業員エンゲージメントが高い企業は評価制度が整っていることも特徴の一つです。
自分が行った仕事に対して明確に評価をしてもらえると、やりがいにつながります。組織内における存在価値を見出せることで、エンゲージメントが高まるでしょう。
個人が出した成果に対してしっかりと評価する仕組みづくりが大切です。
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■ビジョンが明確にある
組織が掲げる戦略的な方針が明確な企業は、従業員エンゲージメントが高くなる傾向にあります。企業のビジョンに共感できないと、離職率が高まるかもしれません。
将来的にどこを目指しているのか、企業側と従業員が共通認識を持つことは重要です。従業員が企業のビジョンに共感することで、一体感が生まれやすくなるでしょう。
ビジョンが明確にあれば、ひとり一人が働きがいを見出すきっかけにもなります。
従業員エンゲージメントを測定する3つの調査指標
従業員と企業の信頼関係を表したものがエンゲージメントですが、何を基準に判断すれば良いのでしょうか。従業員エンゲージメントを測定する3つの指標について解説します。アンケートの質問項目を考える際の参考としてみてください。
■エンゲージメント総合指標
エンゲージメント総合指標とは、従業員が企業をどのように評価しているのかを数値化したものです。
具体的な項目として以下が挙げられます。
● eNPS:自分が勤めている企業を友人や知人に勧めたいか
⇒質問例「求職中の友人に、自社をおすすめしたいと思いますか?」
● 総合満足度:総合的に考えて、いまの企業にどのくらい満足しているか
⇒質問例「自社で働いているなかで自分が成長を感じられる機会はありますか?」
● 継続勤務意向:今後も継続して勤務したいと考えているか
⇒質問例「いまの仕事にやりがいを感じていますか?」
■ワークエンゲージメント指標
ワークエンゲージメント指標とは、仕事に対しての熱意ややりがいを数値化したものです。
具体的な項目として以下が挙げられます。
● 熱意:仕事に対してやりがいを感じているか
⇒質問例「仕事をしていると時間が経つのが早いと感じていますか?」
● 没頭:仕事に意欲的に取り組めているか
⇒質問例「仕事をするうえで、自分が得意とすることを行う機会がありますか?」
● 活力:仕事に楽しみを見出せているか
⇒質問例「仕事を行うのに必要な機材や環境がそろっていると感じますか?」
■エンゲージメントドライバー指標
エンゲージメントドライバー指標とは、今後の従業員エンゲージメントに影響を与えるおもな要因です。
具体的な項目として以下が挙げられます。
● 組織ドライバー:企業と従業員の状態(職場環境や人間関係など)
⇒質問例「仕事上で自分の意見が考慮されていると感じますか?」
● 職務ドライバー:職務と従業員の状態(仕事への難易度や満足度など)
⇒質問例「会社全体や部署の戦略目標を理解していますか?」
● 個人ドライバー:従業員個人の状態(個人のスキルが業務にどう影響するか)
⇒質問例「自分の仕事が褒められたり認められたりする機会はありますか?」
従業員エンゲージメントを高める方法
従業員エンゲージメントは働きやすい職場環境だけでなく、会社の業績や企業価値の向上にもつながります。どのようにして高めていけば良いのか、3つの方法を解説します。
■経営層の考えや今後のビジョンを発信する
まずは、会社全体で経営層の考え方やビジョンを共有することから始めましょう。自分が勤めている会社の方向性がわかっていないと不安に感じるものです。
何のために仕事をするのかが明確でなければ、従業員エンゲージメントは高まりません。従業員への浸透ができていない状態であれば、積極的に経営層から考えやビジョンを発信しましょう。
■ワークライフバランスを重視した働き方改革
従業員が働きやすい環境に整えることも、エンゲージメントを高めるには必要です。仕事とプライベートを上手に調和できるワークライフバランスを重視しましょう。
残業時間の削減に努めたり、有給取得率をアップさせたりなどが挙げられます。また、フレックスタイムや時短勤務など、個人の都合に合わせた働き方の多様化も方法の一つです。
■社内コミュニケーションを活性化させる
従業員エンゲージメントを高めるなら、コミュニケーションの活性化は不可欠です。それぞれが何を考えているのか、意思疎通が取りやすい環境を整えましょう。
働く時間や場所がバラバラになりやすい場合は、ITツールなどの導入も検討してみてください。社内全体が見える化することで、社員間のコミュニケーションの活性化につながります。
まとめ
エンゲージメントを高めれば、企業全体が一つのチームとしてまとまりやすくなります。結果として、業務の効率化や売上・利益の向上につながるでしょう。
さまざまな改革を進める前に、従業員エンゲージメントの現状を把握することが大切です。従業員が仕事や会社に対して何を考えているのかを知り、それを少しずつ改善していきましょう。
識学上席講師 大熊 憲二
2011年入社 ソフトバンク事業部に配属となり、史上最速の9ヵ月でマネージャーに昇進し、店舗拡大に貢献。
2014年モバイル事業部移動となり、業界全体が縮小傾向で低迷する中、200坪以上の超大型店等の新規出店に従事。
2016年に識学と出会い、識学に基づくマネジメントを徹底し、モバイル事業統括として史上初の年間目標完全達成を記録。
株式会社P-UP neo取締役常務執行役員兼識学上席講師として現在に至る。