ノーマライゼーションとは?理念や考え方、身近な取り組み事例を解説

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ダイバーシティ(多様性)が世の中に浸透してきたなか、社会的マイノリティを持った人の生活や権利が保障されるための環境整備が必要です。
社会福祉も重要な項目の一つで、ノーマライゼーションというキーワードが注目されています。
その言葉を初めて聞いた人もいれば、意味まではわからない人も少なくないでしょう。この記事では、ノーマライゼーションとは何か、考え方や取り組み事例を解説します。

目次

    1. ノーマライゼーションとは?理念や考え方

    2. ノーマライゼーション8つの原理

    3. ノーマライゼーションを実現させるための具体例

    4. 企業におけるノーマライゼーション取り組み事例

    5. 企業がノーマライゼーションを取り入れるポイント

    6. まとめ

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ノーマライゼーションとは?理念や考え方

ノーマライゼーションとは、社会福祉用語の一つです。英語では「標準化」や「正常」という意味がある言葉ですが、どのような理念や考え方があるのでしょうか。

■ノーマライゼーションの考え方
ノーマライゼーションとは、障害者や高齢者などが自立・社会参加をするための支援をしたり、仕組みを作ったりすることです。
社会的マイノリティを持った人を特別視・特異視するのではなく、一般の人と同じような社会で暮らしていくことを目指した考え方です。
N・E・バンク-ミケルセンが提唱し、障害者福祉の基本理念として定着しつつあります。

■厚生労働省が提唱するノーマライゼーションの理念
厚生労働省が提唱するノーマライゼーションは「障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともに生き生きと活動できる社会を目指す」が理念です。
ノーマライゼーション推進のために、サービス提供体制の充実に取り組んでいます。たとえば、平成15年度には障害者の自己の決定を尊重し、サービス提供者との対等な関係を確立するための支援制度を開始しました。

引用元:厚生労働上「厚生労働白書

■バリアフリー・ユニバーサルデザインとの違い
ノーマライゼーションとよく混同されやすいのが、バリアフリーユニバーサルデザインです。

バリアフリーとは、身体的に立場の弱い人にとって日常のなかで感じる「障壁」をなくすための取り組みを言います。
ユニバーサルデザインとは、性別や年齢などに関係なく、すべての人が使いやすい・扱いやすいデザインのことです。

どちらの言葉も、ノーマライゼーションを実現するためには不可欠な取り組みです。
企業などがノーマライゼーションを導入する際に、2つの言葉も含めて検討してみてください。

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ノーマライゼーション8つの原理

国際的にも浸透しているノーマライゼーションですが、その理念はスウェーデン知的障害者連盟のベンクト・ニィリヘによって整理され、8つの原理にまとめられています。


これらが満たされたときに、ノーマライゼーションが実現できるとしました。ひとり一人の障害や能力などに応じて、最適な支援や環境を整えることが大切です。

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ノーマライゼーションを実現させるための具体例


ノーマライゼーションを実現させるためには、さまざまな場面や分野での環境整備が不可欠です。
ここでは、2つのケースに分けてそれぞれで施行される具体例を解説します。

■生活に関するノーマライゼーション
生活に関するノーマライゼーションとして「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」の2つが挙げられます。それぞれの具体例を挙げてみましょう。

バリアフリーの具体例


ユニバーサルデザインの具体例


■仕事に関するノーマライゼーション
仕事に関するノーマライゼーションは「障害者雇用促進法」と「高年齢者雇用安定法」の2つが挙げられます。それぞれどのような意味があるのかを確認してみましょう。

障害者雇用促進法

障害者雇用促進法とは、障害者の雇用の安定を図ることを目的とした法律です。
障害者雇用率が設けられ、一定の数値を満たさない企業は、納付金が徴収されます。法定雇用率を達成している企業には、一定の調整金が支給されます。

高年齢者雇用安定法

少子高齢化が急速に加速するなか、働く意欲のある高齢者の雇用は注目されています。高年齢者雇用安定法は令和3年4月に法改正されるなど、段階的に雇用を求める年齢の引き上げが行われています。
健康面での不安やIT対応への難しさなど課題はありますが、高年齢雇用継続給付金などが国から支給されるのが特徴です。

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企業におけるノーマライゼーション取り組み事例


近年、企業においても徐々にノーマライゼーションが認知されるようになってきました。ここでは、実際に企業で行われているノーマライゼーションの取り組み事例を紹介します。

■りそなホールディングスの取り組み

りそなホールディングスでは、店舗に訪れる障害者や高齢者、妊婦などさまざまな人が安心して利用できるように、ノーマライゼーションの取り組みを進めています。

具体的には以下のような取り組みです。


引用元:株式会社りそなホールディングス「ノーマライゼーションへの取り組み

■藤田観光の取り組み

藤田観光では、ホテルやレストランなどさまざまなサービスを提供しています。グループ全体でノーマライゼーションの推進に力を入れており、これまでに数多くの研修を実施。東京都「心のバリアフリー」サポート企業に認定されています。 
平成28年からは「ユニバーサルマナー検定3級」の団体受験を実施し、2年間で250人が取得するなど、適切な配慮ができる人材育成に取り組んでいるのが特徴です。

参考:藤田観光株式会社「ノーマライゼーションへの取り組み

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企業がノーマライゼーションを取り入れるポイント


すべての人が生活しやすい世の中にするためには、企業での環境整備が必要不可欠です。ここでは、企業がノーマライゼーションを取り入れるためのポイントを解説します。

■すべての社員が働きやすい体制を整える
企業に勤めるすべての社員が働きやすい体制を整えることが大切です。ノーマライゼーションの対象となるのは、障害者や社会的弱者だけとは限りません。
障害者や高齢者の雇用だけにとらわれることなく、ひとり一人が働きやすい環境を整えることです。社員の個性やニーズに柔軟に対応していける、管理者側の意識改革も必要でしょう。

■ノーマライゼーションについて社内理解を深める
職場内でノーマライゼーションという言葉が一人歩きしていませんか。
企業単位で取り組むことは大事ですが、まずは社内理解を深めることが実現に向けての第一歩です。経営層だけで決定したことは、全従業員に詳細な説明を行いましょう。
働きやすい制度や環境づくりはもちろんのこと、必要であれば研修などの実施も検討してみてください。

■各種助成金の活用も検討する

企業ができるノーマライゼーションの取り組みの一つに、障害者の雇用があります。社内の施設整備に資金が必要な状況も想定されますが、助成金を受けられる制度が用意されています。
金銭的な負担で諦めるのではなく、以下のような助成金の活用も検討してください。 


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まとめ

ノーマライゼーションは、障害の有無を意識しなくても生活できる社会の実現を目指す考え方です。世界共通の考え方となっており、今後さらに拡大していくことが予想されます。
会社組織でも障害者雇用やバリアフリーの推進など、取り組み事例は少なくありません。まずは、ノーマライゼーションについて理解を深め、徐々に導入を目指していきましょう。

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識学上席講師 大熊 憲二

2011年入社 ソフトバンク事業部に配属となり、史上最速の9ヵ月でマネージャーに昇進し、店舗拡大に貢献。
2014年モバイル事業部移動となり、業界全体が縮小傾向で低迷する中、200坪以上の超大型店等の新規出店に従事。
2016年に識学と出会い、識学に基づくマネジメントを徹底し、モバイル事業統括として史上初の年間目標完全達成を記録。
株式会社P-UP neo取締役常務執行役員兼識学上席講師として現在に至る。

 

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