人材育成コンサルティングとは?活用するメリット・デメリットも解説

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離職が続き、残った職員の負担が増えるという悪循環に悩んでいませんか?

医療法人の経営において、人材の定着と成長は最重要課題です。

しかし、医療現場特有の課題に対応できる育成ノウハウを持つ経営者は多くありません。

 

本記事では、人材育成コンサルティングの仕組みから医療法人が活用するメリット、導入時の注意点を解説します。

ぜひ、職員が辞めずに成長し続けるための参考にしてください。

 

人材育成コンサルティングとは?医療法人における定義と役割


人材育成コンサルティングとは、院長の右腕として組織の成長を後押しする専門サービスです。

単に研修を行うだけでなく、医療現場の特性を踏まえたうえで、組織が抱える「人」に関する根本的な課題解決を目指します。

 

その具体的な役割について、以下3つのポイントから解説します。

 

 

これらの役割を通じて、法人の持続的な組織作りを支援します。

 

職員の成長を戦略的に支援する

コンサルタントの役割は、場当たり的な研修ではなく、計画的な育成の仕組みを構築することです。

多忙な医療現場ではOJTが機能しにくく、職員の成長が個人の意欲や上司の指導力に依存しがちです。

これでは組織力の安定的な向上は望めません。

 

そこで法人の理念やビジョンから逆算し、各階層で求められるスキルを定義した育成計画を策定。

明確なキャリアパスと評価基準を示すことで、職員は自身の将来像を描きやすくなり、日々の業務への意欲も高まります。

こうした戦略的な支援によって、個人の成長を組織の力へと着実に変えていきます。

 

医療現場の特殊性に対応した育成手法を提供する

医療法人の人材育成では、専門職集団であるという特殊性の理解が欠かせません。

医師や看護師などは高い専門性とプライドを持ち、人の命を預かる強いプレッシャーの中で働いています。

そのため、トップダウン型の指示や画一的な研修では反発を招きやすく、効果は期待できません。

 

コンサルタントはこうした背景を深く理解し、職員の主体性を引き出す育成手法を提供します。

たとえば、職員同士が事例を共有し合う会議や、内省を促す1on1ミーティングなどを導入し、自律的に学び成長する組織風土を形成します。

 

一般企業向けサービスとは根本的に異なる

医療法人向け人材育成は、一般企業向けとは目的も手法も根本的に異なります。

一般企業では売上や利益といった数値目標の達成がゴールになることが多いです。

しかし、医療法人では医療の質の向上や患者満足度が最優先の価値基準となります。

 

そのため評価指標も大きく異なり、リーダーに求められるのは営業力ではなく、多職種連携を円滑に進める調整力や倫理観です。

このように物事を測るものさしが違うため、課題を本質的に解決するには、医療に特化したコンサルタントを選ぶ必要があります。

 

医療法人向け人材育成コンサルタントの仕事内容

人材育成コンサルタントは、医療法人の人材課題を解決するために、戦略立案から実行支援まで幅広い業務を担当します。

単に研修を実施するだけでなく、組織全体の育成体制を根本から見直し、持続可能な仕組みを構築することがおもな役割です。

 

おもな仕事内容は以下3つに分類されます。

 

 

これらの業務を通じて、医療法人の人材力を総合的に向上させます。

 

人材育成戦略の策定

まず病院の経営ビジョンや中期経営計画を詳しく分析します。

そのうえで、ビジョン実現に必要な人材像を明確化し、現状とのギャップを埋めるための育成方針を立案します。

 

たとえば、「地域No.1の急性期病院」を目指す場合、高度な医療技術だけでなく、患者満足度向上のためのホスピタリティも大切です。

このような複合的な能力開発を、限られた予算内で効果的に進める計画を作成します。

医療法人の将来を見据えた、実現可能な人材育成の設計図を描くことが、戦略策定の本質といえるでしょう。

 

制度や仕組みの設計

制度設計では、人材育成を組織に定着させるための具体的な仕組みを作り上げます。

研修体系の構築はもちろん、人事評価制度やキャリアパス、メンター制度など、育成を支える各種制度を総合的に設計します。

 

肝心なのは、既存の医療安全研修や感染対策研修といった必須研修と、新たな育成プログラムをうまく統合することです。

現場の負担を増やさずに、効果的な学習機会を提供する工夫が求められます。

制度設計の良し悪しが、人材育成の成否を大きく左右するため、現場の実情を踏まえた実践的な設計が不可欠です。

 

実行・運用の支援

実行支援では、策定した戦略や設計した制度を、実際に医療現場で機能させるためのサポートを行います。

研修の企画・実施だけでなく、現場でのOJT支援、育成担当者への指導など、多岐にわたる活動を展開します。

 

導入初期はとくに重要です。

小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に組織全体に浸透させていく必要があります。

定期的な効果測定を行い、PDCAサイクルを回しながら改善を続けることも大切な役割です。

また、現場からの声を吸い上げ、制度の微調整を行うなど、柔軟な対応も求められます。

 

人事系コンサルティングサービスの違いと使い分け


人事領域のコンサルティングには、人材育成以外にもさまざまな種類があります。

 

ここでは、代表的な3つのサービスとの違いと、効果的な使い分けを説明します。

 

 

詳しく見ていきましょう。

 

採用コンサルティングは人材確保に特化

採用コンサルティングは、その名のとおり「人材の確保」を専門とするサービスです。

求める人物像の明確化から求人媒体の選定、面接手法の改善までを支援し、採用活動の成功率を高めます。

 

人材の入り口である採用に課題がある場合に有効なサービスです。

ただし、どれだけ優秀な人材を採用しても、受け入れる組織に育成の仕組みがなければ定着はしません。

採用後の育成や活躍については、人材育成コンサルティングの領域となります。

 

人事制度コンサルティングは評価報酬に特化

人事制度コンサルティングは、職員の頑張りを正当に評価し処遇に反映させるための「評価・報酬制度」の設計を専門とします。

「評価基準が曖昧で職員が不満を抱えている」といった課題の解決に有効です。

 

公平な評価制度は、人材育成の前提として不可欠な土台といえます。

しかし、評価制度を整えるだけでは人は育ちません。

評価項目と連動した具体的な育成手法があって初めて、制度が意味を持つものになります。

 

組織開発コンサルティングは風土改革に特化

組織開発コンサルティングは、職員間の関係性やコミュニケーションの質を高め、組織全体の「風土改革」を目指すサービスです。

ワークショップなどを通じて、部署間の対立を解消したり、風通しのよい職場を作ったりします。

 

個人のスキル育成というよりも、チームや組織全体の機能性を高めることに主眼が置かれているのが特徴です。

組織の一体感を醸成し、職員全員が同じ方向を向いて仕事に取り組むための基盤を整えます。

 

人材育成との組み合わせで相乗効果を生む

コンサルティングはそれぞれ独立したサービスですが、連携させることでより大きな効果が期待できます。

たとえば、採用コンサルで理念に共感する人材を確保し、人材育成コンサルで定着と成長を促すという流れです。

 

また人事制度コンサルで評価の仕組みを整え、その評価項目と連動した育成プログラムを実施することも有効です。

自院の課題の優先順位を見極め、ときには複数の専門家を組み合わせることが、組織変革を加速させます。

 

医療法人が人材育成コンサルティングを活用する8つのメリット


外部のコンサルタントを活用することに、ためらいを感じる経営者の方もいるかもしれません。

しかし、専門家の力を借りることで、自力では得られない多くのメリットを享受できます。

 

ここでは、医療法人が人材育成コンサルティングを導入するメリットを8つ紹介します。

 

 

これらのメリットが、法人の持続的な成長を力強く後押しします。

 

医療業界の最新トレンドを戦略に反映できる

医療業界は、診療報酬改定や働き方改革など、常に大きな変化にさらされています。

人材育成コンサルタントは、こうした最新動向を日々収集・分析し、各医療機関の育成戦略に反映させる役割を担っています。

 

たとえば、2024年4月から始まった医師の働き方改革では、タスクシフト・シェアが重要なテーマとなりました。

これに対応するため、看護師や医療事務の業務範囲拡大に向けた育成プログラムの需要が急増しています。

また、オンライン診療の普及に伴い、デジタルスキル向上の必要性も高まっている状況です。

自院だけでは把握しきれない業界全体の動きを踏まえた、先を見据えた人材育成が可能になります。

 

参考資料:厚生労働省「医師の働き方改革」

 

他院の成功失敗事例から効率的に学べる

多くの医療法人の支援実績を持つコンサルタントは、成功事例だけでなく、数多くの失敗事例に関する知見も蓄積しています。

「どのような取り組みが失敗しやすいか」という他院のリアルな教訓は、自院が同じ轍を踏むリスクを回避するために有益です。

 

自院の経験だけで試行錯誤を繰り返すよりも、はるかに効率的かつ確実な組織改革を進められます。

無駄な投資や時間を削減できることは、外部の専門家を活用する大きな利点といえるでしょう。

 

外部の客観的視点で組織の課題が見える化する

長年同じ組織で働いていると、問題点が当たり前になってしまい、改善すべき課題に気づきにくくなります。

外部コンサルタントは、第三者の立場から組織を分析し、内部では見えていなかった課題を明確にします。

 

職員インタビューやアンケート調査を通じて、経営層には届いていない現場の本音を収集。

他院との比較分析により、自院の強みと弱みを客観的に把握することも可能です。

さらに、部門間の連携不足や、世代間のコミュニケーションギャップなど、組織の構造的な問題も浮き彫りになります。

 

職員のスキル向上で医療の質が向上する

人材育成の最終的な目的は、医療の質向上にあります。

職員一人ひとりのスキルが向上すれば、チーム医療の質も自然と高まり、患者満足度の向上につながります。

技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力の向上も大切です。

 

たとえば、医療安全の観点から、インシデント発生時の適切な報告・分析・改善のスキルを身につけることで、医療事故のリスクを低減できます。

また、患者への説明力が向上すれば、インフォームドコンセントの質も高まるでしょう。

 

離職率低下により採用コストが大幅に削減できる

職員が成長できる環境や、キャリアアップの道筋が明確になることで、働くことへの満足度、いわゆるエンゲージメントが高まります。

これにより、優秀な人材の離職を防ぐことが可能です。

 

新たな人材を採用し一人前に育てるまでには、求人広告費や教育係の人件費など、多大なコストがかかります。

離職率が低下すれば、こうした採用・育成コストを大幅に削減でき、経営の安定化に大きく貢献します。

 

通常より早く組織改革を進められる

医療法人の組織改革は、通常であれば5年、10年という長い時間を要します。しかし、経験豊富なコンサルタントの支援を受けることで、この期間を大幅に短縮可能です。コンサルタントは改革の道筋を明確に示し、優先順位をつけて効率的に進めていきます。

 

また、他院での成功パターンを応用することで、ゼロから手探りで進めるよりもはるかに早く成果を出せるでしょう。さらに、第三者の立場から改革を推進することで、組織内の抵抗勢力も説得しやすくなります。変化の激しい医療業界において、スピード感を持って組織を進化させることは、生き残りのための必須条件となっています。

 

社内の育成担当者も同時に成長する

外部コンサルタントとの協働は、社内の人材育成担当者にとって貴重な学習機会となります。

プロのノウハウを間近で学び、実践することで、担当者自身のスキルも大きく向上するからです。

コンサルタントは研修の企画方法、効果的なファシリテーション技術、成果測定の手法など実践的なスキルを伝授します。

 

また、他院の事例や最新の育成理論についても学べるでしょう。

プロジェクト終了後も、習得したスキルを活用して自立的に育成施策を展開できます。

組織内に育成のプロフェッショナルを培うことは、持続的な人材開発の基盤となる成果です。

 

経営者の孤独な悩みを相談できる

医療法人の経営者は、職員に見せられない悩みを1人で抱え込みがちです。

人材育成コンサルタントは、そのような経営者のよき相談相手となり、精神的な支えとしての役割も果たします。

職員のモチベーション低下、医師との関係性、後継者問題など、デリケートな課題についても率直に相談できます。

 

コンサルタントは守秘義務を負っており、安心して本音を話せるでしょう。

また、多くの経営者を支援してきた経験から、実践的なアドバイスや心理的なサポートも提供してくれるはずです。

 

人材育成コンサルティングへの依頼前に知っておくべきリスクと対策


多くのメリットがある一方で、人材育成コンサルティングの活用にはいくつかのリスクも存在します。ここでは、代表的な3つのリスクとその対策を紹介します。

 

 

それぞれ見ていきましょう。

 

現場職員が強く反発し改革が頓挫する

外部コンサルタントが主導する改革に対し、現場職員が「やり方を否定された」と感じ、強い抵抗感を示すことがあります。

とくに、長年そのやり方で貢献してきたベテラン職員からの反発は、改革が頓挫する大きな原因です。

 

対策として、改革の目的や必要性を経営者自らの言葉で丁寧に説明することが不可欠です。

また、プロジェクトの初期段階から現場の代表者を巻き込み、当事者意識を持ってもらうことも有効な手段となります。

 

一時的な効果で終わり元に戻ってしまう

研修などを実施した直後は、職員の意識が高まり、一時的に行動が変化することがあります。

しかし、その後のフォローアップや仕組み作りが不十分だと、時間と共に効果が薄れ、結局元の状態に戻ってしまうケースは少なくありません。

 

コンサルタントに依頼する際は、研修などの単発の施策だけでなく、それが組織に定着するまでの継続的な支援を契約に含めることが賢明です。

行動変容を習慣化させる仕組み作りが求められます。

 

投資に見合う成果が出ているか判断しにくい

人材育成の効果は、売上のように明確な数字で表れにくい側面があります。

そのため「高い費用を払ったが、本当に効果があったのか分からない」という状況に陥りがちです。

 

対策として、契約前にコンサルタントと「何をもって成功とするか」というゴールを具体的に共有しておくことが大切です。

たとえば「半年後の離職率を〇%低下させる」「アンケートのスコアを〇点上げる」といった、測定可能な指標を設定することが求められます。

 

まとめ:人材育成コンサルティングの活用で職員が辞めずに育つ組織へ

医療法人の人材課題は、適切なマネジメント手法の導入により解決可能です。職員の離職や管理職の機能不全といった問題は、多くの組織に共通する悩みでもあります。

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